「もっと知りたいこと・聞きたいこと」に対する回答
● Aグループ
■ 基本計画と私権(土地の所有者)との関係?

回答
 日進市はまだまだ人口が増えるだろうけれど、日本の人口はもうすぐ減少に転じます。
 現在、地価の下落とともに、利便性の高い都心に人口が回帰し始めています。首都圏は顕著で、京都市でも、都心回帰がかなり現れています。名古屋市への回帰も、たぶんあると思います。
 一方、まちづくり・むらおこしに成功した中山間の自治体では、人口が微増に転じた地域もあります。では、大都市圏近郊都市の将来を問えば、人口の増減の地域間格差が顕著になると思います。土地所有者が中心となって魅力的な緑地を残さなければ、他の衛星都市との差別化ができなくて、魅力のない衛星都市となり、人口減に転じます。ほっておいても人口が増えるのは、これから先10年もないということをまず自覚し、魅力的な都市をつくりあげるために、共有の環境を守るためにも、地主も貢献するべきだということを、この環境基本計画でめざすべきだと思います。

■ 山の保全と土地所有者の意見は?

回答
 先述の問題もあるので、山林所有者にも、環境基本計画に参画してもらうとよいと思われます。

■ 開発の部署と保全の部署との調整?

回答
 開発を、早く20世紀型の開発から、21世紀型の持続的発展であり、成長管理型の都市政策に転換するかが問われています。この転換に早く成功した都市が魅力を高め、適正な人口増加を続けます。

■ サイレントマジョリティーの意見を集める方法は?

回答
 地区別に意見を聞いたり、インターネットで市民参加を進めるグループの形成を促すなど、市民環境ネットのチャンネル以外にも意見を集められればなおよいと思います。
 地区別に意見を聞くためには、学区を単位とするコミュニティプランの策定が望ましいし、市民活動推進や生涯学習などの担当課と連携してインターネットグループが形成されれば、平日市内にいないサラリーマンなども参加しやすくなるでしょう。これらも、関心のある市民が一般市民を連れてくる仕組みが必要です。
● Bグループ
■ 総合計画・個別計画との関係

回答
 個別計画は、総合計画の下位計画です。その整合性は、毎年、総合計画の実施計画を見直して、新しく策定・改訂された個別計画の事業を実施計画に組み込めれば、その関係がすっきりとします。

■ 住民と行政の役割分担をどのようにすべきか

回答
 行政は、市民と一緒に計画を検討し、決定した中で行政が責任を持って実施しなければならない項目について、実施します。また、経営資源(人、モノ、カネ、情報、時間)の所在に応じて、応分の負担をするのです。当然、行政は税金を使える得点があるので、その分、大きな役割分担があります。環境基本計画の中で、市民と一緒に分担を決めれば、その後がやりやすいと思います。
● Cグループ
■ 土木工事における環境対策とは?

回答
 既に決まっている工事日程で、つまり、設計変更となると国や県との関係で年度内予算が消化できない状況で住民説明会に入り、設計変更を市民から迫られたら、お互いにとって不幸になる。地域住民と話し合う場の中から、望ましい環境を共有することが重要なので、計画の段階から市民と協議の場を持つことを、この環境基本計画に盛り込めばよいと思います。なお、個別の環境対策は問題が起こった場合に調べるか、事前に国や県の環境対策マニュアル類を見ればよいと思います。

■ アドボカシーとは何。

回答
 政策提言のことです。NPOにも単なる反対ではなく、代替案を示す政策提言能力が求められています。
● Dグループ
■ 京都の実験が1/10ですむ訳。

回答
 ボランティアの大学の専門家やマネジメントボランティアのフォーラム事務局、サービスボランティアの多くの市民が、実験に関わって動いています。これを、コンサルタントに発注するだけで、どれだけの人件費がかかるのか考えてみてください。

■ e-Japanの活用例。

回答
 e-Japanは国策のIT戦略です。自治体にも電子自治体化を強く迫っており、「いつまでに自治体は何をすべきか」といった実施計画が書かれています。その実施計画を前倒しする形で、日進市の電子自治体化を進めた方が有利だと思います。
 例えば、電子入札を最初に行った横須賀市では、ゼネコンの表面的な反発などもありましたが、金額に応じて会社のランクを分け、3回まで応札できる制度をつくりました。その結果、落札価格は下がって市は節約でき、市内の入札業者のシェアも上がり、しかも、下請けでなく直接落札できたため市内業者の儲けも多くなり、市内業者がこれから周辺の自治体の電子入札へ対応できる技術もつきました。
 e -Japanの詳しいプログラムは、国のホームページを参照してください。

■ エコ・コミュニティと経済発展の相互関係。

回答
エコと、コミュニティと、経済発展を鼎立させるのが、21世紀的な発展です。環境やコミュニティに配慮した技術を持つ事業者が、市場で有利に立つルールを整備するのが、行政の役割です。
● Eグループ
■ 経済の内発的発展とは。

回答
外部の大資本を用いる、工場誘致するなどして経済発展を遂げるのではなく、多くの人を養えなくても、信頼の中から小さなコミュニティビジネスで、少数の人がそこそこ食べられるようにしてくことが必要です。こうした、地域に根ざした小さなコミュニティビジネスをたくさんつくることが、内発的な発展を促します。地域通貨もこうしたコミュニティビジネスを生み出す契機となります。

■ 事業者とのパートナーシップのとりかた。

回答
最初から市民環境ネットなどの場に多くの事業者を巻き込むには無理があります。
 ある程度計画原案が煮詰まってから、欠くべきステイクホルダー(利害関係者)の事業者に協力を求めることが必要です。もちろん、事業者がどんな問題を抱えているか、事前に調査をすることは必要だと思います。

■ 日進としての方向性。

回答
計画を策定するためのガイドはあっても、どこの地域でも普遍的な計画内容はつくりません。それよりも、日進市の特徴を活かした方向性をめざすべきです。計画策定のガイドは、講義の中で述べたような10カ条があります。

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