今日のワークショップについて(まとめ)

● 人間コピー機 〜 循環と循環を分断するもの 〜
まずはグループごとに分かれていただき、目や手を動かしながら、まずは体を目覚めさせるような、ゲーム性のあるワークショップをしたいと思います。
ホワイトボードの裏に一枚の絵が貼り付けてあります。皆さんは「人間コピー機」になってその絵を覚えていただき、模造紙の上に書き起こしていくというゲームをしたいと思います。
早く書くという競争ではないので、ぜひグループの中で協力していただき、なるべく正確にコピーしてください。
ホワイトボードの裏には白黒の絵が貼られていますが、皆さんには拡大カラーコピーをしていただきたいので、色を付けて書き起こしてください。
グループの中で見てくる順番を決めていただくのですが、グループの中からは1回につき1人しか見てくることができません。時間内であれば何度でも順番に見てきていただいて結構ですが、なるべく正確に拡大カラーコピーをしていただきたいと思います。

今できあがっているものをさらによくするためには、どこをどんな風に見てくればよいのかということを各グループで作戦を立ててもらうために、話し合ってください。
それでは、各グループの拡大カラーコピーを見て周り、どのグループのコピー機が最も性能がよかったのかを覚えていただきたいと思います。
次に、グループの中で「この絵は何を表しているのか」を考えていただくことと、小学校3、4年生にわかるような言葉で説明できるような短いお話を考えてください。

この絵が何を表しているかというと、自然界の循環を表しています。「食べられるものがあって食べるものがある」という循環の環が完結している、空気も水も食物も全て循環の環が完結しているというのが生態系ですね。

循環の環が完結しているということは、もちろん「持続可能性」の重要なキーワードですが、もう1つ「自然界にごみなし」というキーワードがあります。では、どうして人間界にはごみがあふれているのでしょうか。実は、環境問題というのは、自然界の循環の環を人間活動によってとぎらせているところで起こっているのです。
例えば、工場から出る排水によって河川が汚れた場合、その河川に棲んでいる魚や近くに住んでいる人間にも影響が及んでくることがそうです。
これから皆さんには、「どんな人間活動が自然界の循環をとぎらせているのか」について考えていただきたいと思います。

「何のために環境基本計画をつくるのか」と言うと、今生きている私たちが、今ある地球環境を使い果たしてしまったり、修復不可能な状態にしてしまわないように、また、未来の世代も地球から恩恵を授かることができるように今どうするのかという行動計画を決めるためです。
その内容というのは地域によっても違うでしょうし、「私たちの地域にとって必要なこと」は、地域ごとに考えていく必要があると思います。

●「課題は何か?」 〜 地域の課題、地球の課題 〜
「地球が抱えている人類共通の課題」、「地域が抱えている共通の課題」について、それぞれ3つずつのグループに分かれて考えていただきたいと思います。
まずは、各自頭に思い浮かんだことをカードに書き出してください。次に、書き出したカードを模造紙に貼り付けます。皆さんのアイデアをわかりやすくまとめ、共通理解するというKJ法を用いて進めていきたいと思います。

一人がまずカードを模造紙に貼り付け、他の人は同じような内容のカードをその周りに貼り付けてまとめていきます。同じ内容のカードが出なくなったら、違う人が新しいカードを貼り付けてください。それを全部のカードがなくなるまで繰り返します。そうすると、同じような内容のカードの固まりがいくつかできるわけですが、その同じようなまとまりの「島」にどんなつながりがあるのか考えていただきたいと思います。
同じようなまとまりの「島」にタイトルをつけ、その「島」ごとの相互依存関係をつなげるということが最終的な目的です。

この作業のねらいは、それぞれがどんなことを課題と思っているのか、まずは共通認識を持ってもらうことです。そして、課題どおしのつながりを図にしながら明らかにしていこうと思いました。このつながりには正解はありませんが、グループの中で「これとこれはつながりがあるよね」ということを話しながら作業していただいたと思います。
こうしてみると、一つの問題というのは個別に起こっているのではなく、いろいろなつながりの中で起こっているのだということが、とてもよく実感できるのではないかなと思うのですが、ここに環境基本計画づくりに様々な部署が関わっていくという意義や目的があると思います。

環境問題は単独で起きているわけではありません。いろいろなつながりの中で起こってきているわけですから、いろいろな人の視点や切り口から考えていかないと解決していかない問題だということです。逆に言うと、環境問題とは違う問題が皆さんの部署には起こっていると思いますが、縦ではなく横のつながりの中で問題を解決していかないと無理だよということです。いろいろなつながりの中にある問題は、逆の視点から見ると、いろいろな視点や切り口から解決を考えていくことが可能だということです。
いろいろな横のつながりの中で、それぞれが抱えている課題というのを共有することで、お互いの専門性の中からアドバイスし合えるのではないかと思います。

先ほどの発表を見ていて、それぞれ専門的な問題については時間をかけて説明していたのですが、それぞれの持つ専門性を横のつながりをつけて問題を解決していった方が、相乗効果で問題が早く解決されるのではないかと感じました。
日本の行政の中で一つ欠けていることとして、横のつながりというのがあると思います。
今日の「人間コピー機」というゲームの中で、もしも事前に話し合わない、役割分担をせずバラバラに見に行ったとしたら、同じことを見てきてしまい、他の部分が書けなかったかも知れません。
全体の中でどういった役割でどの部分を自分は担っているのか、お互いの役割を把握することで全体の動きがスムーズに行くと思います。協力ということはそのためにしていくのではないかと思います。
日進にもたくさんの市民活動があると思いますが、「自分たちはこんな活動をしている」といった情報を公開せずに、横のつながりをつけないで活動していると、みんなが偏った活動をしてしまうと思います。そうならないために、また、視点を広げていくためには、情報交換や「自分たちは何が課題で何をやっていくべきなのか」を共有することが、とても大事なことだと思います。
環境基本計画が全ての部署に関わる問題であるとするならば、「自分たちの部署で抱えている問題を改めて共有することはとても大事なことなんだな」という確認をしました。

● 「地球家族」 〜 豊かさと21世紀の地球 〜
皆さんの机の上に、5枚の「地球家族」という写真集をお配りしました。
今、世界には200あまりの国と61億の人間がいますが、その中から30の国を無作為に選び、その国で平均的な家庭を訪れ、その家庭の家財道具一式を外に出してもらい、家族と一緒に撮った写真です。

まずは個人で、「豊か」だと思う順番に写真を並べ替えてください。写真の端には番号が書いてありますので、紙にその番号を「豊かさランキング」として書き出してください。
次に、グループの中で「豊かさランキング」を合意してください。まず、他の人が書いた「豊かさランキング」を自分の紙に写します。みんなの「豊かさランキング」を見て、合わないところがあったならば、その部分を民主的な話し合いのプロセスを経て話し合ってください。民主的な話し合いのプロセスとは、「力に寄らない」、「声の大きい人に負けない」、「多数決で決めない」、「主張あり・妥協あり・歩み寄りあり・交渉あり」などといったことです。
「どうして私は豊かだと思ったのか」ということを、暴力的ではない、攻撃的ではない言い方で話し合ってください。最終的に、グループとして合意できる「豊かさランキング」をつくり上げてほしいと思います。


もしも時間内に、グループでの「豊かさランキング」が決まったグループは、写真をランキング通りに並べ替えて、タイトルを付けていただきたいと思います。
決まらなかったグループは、決まったところまでを並べていただき、決まった部分だけの題名を付けていただきたいと思います。
全く決まらなかったグループは、全てバラバラに並べていただき、「どうして決まらなかったのか」と言う理由を書いていただきたいと思います。

個人個人が思っている「豊かさの指標」というのは違ったと思うので、グループでまとめて一つのランキングを出すには、妥協が必要だったかも知れません。そこで妥協しきれなかったグループはまとまらなかったということですね。
これは「合意」してもらうことが目的のゲームではなく、それぞれが「豊かさとは何か」について自分に問いただし、グループの中で共有することが目的の一つでした。もう一つの目的は、「豊かさの指標」にはたくさんあることを共有することです。それは、物質的なことだけではなく、例えば家族愛や自然、文化など甲乙付けがたいものがあることを、皆さんで確認することでした。
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