■ ファシリテーターからの説明の要旨

今回のねらいについて
● 今回のねらい
今日は第1回目ということで、それぞれの方たちが、環境に対してどんな想いを持っていらっしゃるかということを少し知り合うことと、実際に外に出ていただいて、目で見える環境だけではなく、身近な環境を感じていただく作業を用意しています。
また、ワークショップといった参加型・体験型の学習というのは、一体何をつくりだす場なのかということをわかっていただくような、基本的な作業をしてみたいと思います。
今日のワークショップについて(まとめ)
● 私にとっての環境をふりかえる(アイスブレーキング)
今日は、「環境」と「参加」をテーマに、いつもと違う視点から知り合っていきたいと思います。
ワークショップというのは、対等な立場で集まった人々が大切なテーマについて考えを深め合う手法です。一番大事なことは「対等な立場で集まった人々が」という部分です。

紙に自分のことについて書き出し、各自の名刺をつくります。今回は、「皆さんがどんな方なのか」、「どんなことを大切にされてきた方なのか」を知り合う名刺をつくります。まずは、以下の4つの質問について紙に書き出し、自己紹介の準備をします。
● あなたにとって懐かしい匂いは何ですか
● あなたにとってよい環境と言われたら、どんなキーワードが浮かびますか(3つ)
● 今、私のいちばん関心のあることは何ですか(環境に関わらず)
● 私の大切にしているものは何ですか(形のあるもの・ないものどちらでも)
今つくっていただいた名刺を基にして、グループ内で自己紹介をしていただきたいと思います。計4つの質問がありますが、それを基にして、1人1分間で相手に自分のことを伝えます。

自己紹介の相手はよく知っている方だったかもしれませんが、自己紹介をしていただき、その方の違う視点が発見できたら面白いなと思います。
こうした参加型のワークショップの中では、「自己理解」、「他者理解」、「共通理解」という流れがあるのが普通です。
「私はどんなふうに考えているだろう」ということを考えてみるのが1つ目の「自己理解」、同じテーマについて「他の人はどういうふうに考えているのだろう」ということを聞いてみるのが2つ目の「他者理解」、それを突き合わせたものが3つ目の「共通理解」です。
同じところ、違うところをみんなで敢えて確かめていく、そうした流れがあるのがワークショップだと思います。

今、市民の方々は、環境基本計画をこれからつくろうとしていますけれども、最初に持ってきた想いというのは各自「自分の考え」が中心でした。けれども他の人と話をしているうちに、「自分と違うことを考えている人がこれだけいる」ことに気づき、共通のものをつくるためには自分の考えだけに留まっていてもいけないし、他の人の考えを聞くだけでもいけないことに気づいていきます。
そこから「では、どこで歩み寄ってゆかなければいけないのだろう」という流れをワークショップの中でつくりながら、私やあなた、そしてみんなの環境基本計画というのをつくろうとしています。
● 視覚で知覚する環境&五感で感ずる環境(フィールドワーク)
今度は、皆さんに「お散歩タイム」というのを差し上げたいと思います。環境教育の中では「トランゼクト」と呼ばれていますが、要はまちの中をぶらぶら歩くことです。そして、いつもとは違う視点を持ってまちを歩く、探し物をしながらまちを歩くという作業になります。以下、8つの視点について探し物をしていただきたいと思います。
● 親しみを感じさせるもの
● 心配りが行き届いている様子
● 見ていて楽しくなるもの
● 幸せの象徴
● 私に喜びを与えてくれるもの
● 優しさを感じさせるもの
● 見るとドキドキするもの
● 明るい未来を感じさせるもの
この8つの視点で探し物をしながら、もしかしたら漠然と歩いているかもしれないこの市役所周辺を、いつもとは違う視点を持って見ていただきたいと思います。ルールとしては、1人でじっくりと見てくることです。
「こんなものを見たらこんな気持ちになった」を探すだけではなく、「どうしてそれに親しみを感じたのか」、「どうしてそれにドキドキしたのか」という理由を書いてきます。

30分という時間を使い、いつもとは違う視点で見慣れた市役所周辺を歩きましたが、最後に、この時間や発見、確認を通して見えてきたこのまちを、テレビのCMやキャッチコピー、または俳句や短歌や詩など、自由に言葉にしてみます。その後、10分程度を使い、グループ内で自分の発見してきたものをお互いに共有します。
全部について共有する時間はなかったかもしれませんが、自分が感じたものを相手に伝えてみて、また、他の人が見てきたものを聞いて、「やってみてどうだったか」、「どんなことに気付いたか」、「何を感じたか」、「何を発見したか」を発表し、共有します。

今日は、2時間を使ってのワークショップを行いましたが、いかがだったでしょうか。30分を使い、いつもとは違う視点を持って、見慣れたところを見直すことをしました。
その際「どうしても行政職員の視点を持って環境を見ていた」と言っていた方がいましたが、私としては、それはとても大事な視点だと思います。なぜならば、それは市民にはない視点だからです。市民の方はいつも自分の生活の視点から見ていますし、行政の方は行政の視点を持って見ています。そうした違いの中から、行政からも市民に提案することができるだろうし、市民は市民の視点で行政に提案することができると思います。
お互いが自分の専門の視点を持ち、その視点を尊重しながら協働していくことは大切なことだと思いました。

そして、環境は目に見える環境だけではなく、「感じる環境」といって、「匂い」、「音」、「空気感」、「人間関係」、「光の感じ」など、感覚的なものもすべて環境に含まれていて、しかも人間の感情と密接に関係があるのです。そこに目を向けていかないと、図面の上や頭の中だけで環境を考えていても実際に生活者の視点で環境を捉えていくことは難しいと思います。そうして五感を通して意識的にならないかぎり、それは机上の空論になりがちであるのと、意識下に置かないと環境は流されるままに変わっていってしまう、気がついたときにはもう遅いとなりがちだと思います。

● 「参加」のつくりだすもの(ワークショップ)
この作業では、「参加」について考えたいと思います。
市民参加で環境基本計画を策定するのが日進市のこれからのミッション(役割)です。それに伴って職員の方にも参加し、サポートしていただくのですが、今までみなさんはどんな会に参加されてきたでしょうか。例えば運動会、学校の遠足、修学旅行、趣味のサークル、市民活動の手伝い、飲み会など、楽しいことや仕事に関わること、やらなくてはいけないことなどいろいろあると思います。
自分が参加してきたいろんな会を思い出して、「参加してよかった」と思える会に共通する要素にはどんなものがあるか書き出します。

この「参加してよかった」と思える要素は、自分以外の人がつくり出してくれるのではなく、自分たちがつくり出すものだと思います。
だれかにこうした要素を期待するのではなく、一人ひとりがこうした要素をつくり出そうと思うならば、どんな会も「参加してよかった」と思える会につながるのではないかと思います。

参加は一人ひとりがつくり出すもの、その結果何がつくり出されるかは私たちがどんなふうに参加をしたかによって違ってきますし、結果というのは私たちの「参加」の結果が結果なのです。
第7回のワークショップが、皆さんと一緒にこうした要素をつくり出せる、また、最後に「参加してよかったね」と思えるような会にしていきたいと思っています。

Back